恐い部屋

せっかく暑くなってきたので、ここいらでちょっと涼しくなるお話をしましょう。

いわく付きの部屋ってありますよね、いわく付きの部屋。要は「出る」部屋です。
人によってはそういう部屋に入るだけで何かを感じたり見ちゃったりすることもあるとか何とか。
私はこれまでそういう類の話はマユツバものとして聞き流していたわけですが、ある体験を思い出してしまったので書いてみます。

もう何年も前、防災設備点検の仕事でとあるマンションのとある空き部屋に入ったときのことです。
玄関のドアを開けたときから既になーんとなく違和感があり、何だろうと思っていましたが、仕事は仕事ですから、とりあえず作業を進めることにしました。

作業そのものは順調に進み、また仕事に集中することで違和感はあっという間に薄れていきました。
そして残るは和室のみ。いざ点検しようとふすまを開けるとーー

突然、強烈な線香の匂いが漂い始めたのです。
さらに背中に感じる、張り付くような視線。あからさまに誰かが私を見ている。

えーと、ついさっきまで線香を炊いていたってことなのかな。まあ仏壇も線香皿もないけど。
あと、ふすまを開けるまで匂いはどこにも漏れてきてなかったよなあ。不思議。

いやいやいや、ここ空き部屋だよな⁉︎
両隣りのお宅も線香なんて炊いてなかったし‼︎
なにこの部屋こわい‼︎

ということで和室の点検を超特急で終わらせ、慌てて飛び出したわけですが、その間もずっと背中を見られてる感ハンパなかったので、ときどき振り返ってみたもののやっぱり誰もいねえ。
なにこの部屋すっげえこわい‼︎

結局その後は特に何もなく現在に至っていますから、呪われたりとかそういうことはなさそうです。
ちなみに同僚の場合、玄関から異常に寒気を感じると思っていたら、リビングのど真ん中に仏壇だけが置いてあったそうです。

入らなくてよかった、そんな部屋…。