::: 2007年6月13日 - 音響の仕事 1

音響についてあれも書こうこれも書こうと思っているうちに、ずいぶんと経ってしまった。
これから2回か3回に分けて書いていくが、私がこの仕事にどれほど誇りを持っているか
伝われば幸いである。

大まかに仕事の流れを見ていこう。
ここでは便宜的に、アマチュア劇団による演劇の舞台音響を行うものとする。

まずは演出との打ち合わせだ。
ストーリーや設定の説明を受け、台本に音出しの指示(ト書き)があれば、そのイメージの
すり合わせをする。疑問・質問をぶつけ、納得いくまで話し合い、アイディアがあれば
遠慮なく提案していく。

次に、徹底的に台本を読んで稽古に顔を出し、現場の雰囲気をつかむ。
ここでのポイントは「稽古に顔を出す」ことである。演出と役者という二重のフィルターに
かけられた生の芝居は、決して台本と同一たりえないので、現場を見ずに音を作ることは
できないからだ。
稽古を重ねるにつれ、一応の方向性は定まっていくが、演劇は生であるがゆえにすべてが
流動的だ。そのため、一度OKの出た音も状況に応じて作り直すことも多い。

本番の約1ヶ月前になると、公演会場(小屋、またはハコと呼ぶ)付きのスタッフとの打ち
合わせを行う。
企業によって運営されているような劇団でもなければ、ひとつの公演に必要な機材をすべて
用意するのは不可能なので、どうしても小屋の機材を借りる必要がある。
この不足機材を事前にリストアップし、打ち合わせの際、実際に借りられるかどうか確認
しなければならない。なお、小屋側の担当者と仲良くなると、超高価な「裏メニュー」も
使わせてくれることがある。
余談だが、私の場合は音響卓、音源メディア、プレイヤー、各種ケーブル、変換プラグは
すべて自前だが、アンプとスピーカー、(卓の位置と電源の距離によっては)電源ドラムを
小屋から借りている。

本番前日の午前、小屋入りとなる。
小屋入り後、機材のセッティング(仕込み)を始めるのだが、注意しなければならないことが
ある。照明だ。舞台に立つと、頭上には金属製のバー(吊りバトン)に大量の照明機器が吊り
下げられており、その重量は数百kgにも及ぶ。これが落下して人間に直撃しようものならば
即死は免れない。「舞台は危険」と言われる、最たる所以である。
命がけの作業を進めている照明スタッフの指示は絶対なので、邪魔と言われれば、たとえ
スポンサーだろうと演出だろうと退去しなければならない。
すべての仕込みとチェックが終わると、完全通し(ゲネ)に移る。
ゲネは衣装、メイク、小道具なども含め、本番とまったく同じ状態で行う稽古のことで、
すべての段取りが滞りなく行われるかどうかを確認することが目的である。
音響の場合は、このときに役者の声量と音量のバランスを確認し調整する。
ゲネ終了後、演出からの駄目出しをもって、本番前日のスケジュールを終了する。

次回は本番中の音響ブースの様子をお届けする予定。

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Category : [舞台・演劇]